ビームライフル・ビームピストル

最近は、都市部の体育館で体験射撃会がよく開かれているビームライフル射撃、光線銃ですから所持許可・射撃場の設営許認可不要で、とっつきやすそうなのですが「金銭的負担」がかなり大きく、当面は一般化の可能性は低いということでアトのほうにランクインです。

ほぼARと同じルールのビームライフル射撃、APと同じようなルールのビームピストル・デジタルピストル射撃が行なわれています。練習は10mの通し距離が得られるなら自宅に標的・採点システムを置いても良さそうですが、製造元はビームライフル・ピストルの器材が茨城の興東電子(株)製品、デジタルピストルも同様同社製品に限られることと、システムの価格が大変高い(1セットでも100万円位)ので、そうそう簡単に自宅設置には至らないものです。一社独占なのではなく、単に営業利益に見合わないことから競合他社が発生しないだけで、この種目を維持するために結果としてひとりぼっちで奮闘してくださるお陰で成立している種目です。

考え方と性能機能は全てのライフル・ピストル射撃に通じるもので、発射物が要りませんので面倒が全くありません。銃器の故障もメカ的よりも電気的なものだけなのでほぼメンテナンスフリー、競技種目として考えると場所を選ばないこともあり射撃の入口からかなり深いところ迄有効だと考えたいのですが、イニシャルコストへの迎合性は先ず殆ど有り得ないと思わざるを得ません。

安価に器材が揃えられるようになれば、こんな結構なものはないでしょう。射撃家の認識がもっとこちらに向いてくれば、玩具メーカー含めてこの方面が得意な業種は多々ありますので一気に浸透していくと感じるところです。

現時点では器材の販売先が公共施設の引く手数多ということでなかなか個人向けに迄回せないのが実情のよう。ある程度以上の量産が願われます。価格は如何せん標的は精密なセンサー機能を持っている為、余り安普請にすると精度に厳しさが出て来るでしょうが今の半額位になれば、ファミリースポーツとしての価値を検討してもいいと思います。何しろ老若男女問わず精密射撃を手軽に訓練することが出来ます。ライフル依託射撃なら4〜5才から標的射撃センスを磨いていくことが出来る好アイテムですから、射撃教育にも適しています。


ビームライフル
エアライフルルールに則したサイズ。小型な年少者用も用意されている。


ビームピストル


ビームライフル・トレーニング標的
小数点表示で新ルールに馴染める。射距離5m用と10m用が用意されている。


ビームライフル・標的装置


ビームライフル・得点表示器
このほか、得点プリンターを使う


ビームピストル標的装置

ビームライフル:個人の導入例
4才から父親の指導でビームライフル委託射撃を嗜んでいた女の子、四年続けて自信もつき、委託といっても座射を卒業し立射を会得、シリーズ満射も普通に撃ち切るに至り、幾つかの習い事の中からこれにことのほかの意欲を見せたことを享けて、器材を自己所有するに踏み切りました。元々は近隣のエアライフル射撃場に備えられていたフルサイズのライトソース(銃本体)を借り受けていたものの、そこそこ一般利用の人気もあり、練習に出向くと数時間待ちとなることもしばしば、実施の可能性に危惧を抱いたこともあります。
メーカーさんは、元々個人所有に関しては余り積極的になれません。如何せんエアライフルのように量産しているものではないので、工芸品的理解が為される必要があるのです。元々これは銃だけ持っても標的装置がなければ始まらないので、総額が高価になることからも、メーカーとしても個人向け誘致への積極的な営業拡販は苦手となって当然です。が、元来その子のお宅は父親が射撃家でありビームライフルの理解も篤く意欲的でもあった為メーカーの迎合を得られた様子。しかしながらまだひと桁年令で小柄と云うこともあり、ライトソースは全長950mmのジュニアサイズのものを採用発注しました。標的装置は公式のものは大きく、10mという距離の屋内空間を必要とする為手軽でないことから、5m向けに設計された練習用のものを採用しました。その後射場の待ち時間対策の為と自宅屋外を利用して10m練習用に10m向け標的も導入しています。
ライトソース・標的装置とも、予定より一か月遅れ丸3か月掛かって納入されました。
先にフルサイズのライトソースで慣れていたこともあり、短くなったサイトラインと5m標的は余り相性が良いとは感じられず、女の子は優しい性格だと云うこともあり、不都合をハッキリ申し出はせぬものの射撃の様子でそれは明確、照星と照門を可変式のものに即座に換装し適合をとり、射撃も快適に行えるようになったようです。費用の総額は五十万円以上となり、子どものスポーツ用器材としては破滅的とも感じる額ですが、射場に依存せず毎日家庭内で時間を見繕っては練習に掛れることは体作りにも大いに貢献しているといいます。特に変わったのは、射場での射撃はそれまでの練習の後に計時採点する方法によらず、いきなり本番と同じ計時採点に掛かるようになったことでしょう。自宅練習の成果を毎週一回射場の装置で確認するという、試合に準じた緊張を再現することで、時間の感覚やサイクル、シリーズを追ううち変化する自分の射撃を見つめることが出来るようになったと云います。特に魔の3シリと名高い第三シリーズは、むしろウォームアップが完成した一番撃ち易いシリーズとして充足した得点をするようにもなり、器材の導入による毎日射撃の効果は絶大な様子です。
ビームライフル器材は中古で入手することはほぼ不可能ですから、同じ10m競技の器材でもエアライフルに比べるとかなりの金銭的な負担は免れません。その反面、法律の規制を受けないばかりか射出体が無く安全なので常時練習する機会に恵まれるものでもあり、プレイヤーには幾ら幼くとも射撃の回数自体が技能の向上に繋がって行くことを強く覚えられる唯一の方法を提供することですから、ゴールデン・エイジと言われる年令のうちに個人所有に踏み切り、修得を積み重ねるのは大変効果的と感じます。
この娘さんはその後間もなくコートとトラウザーも新調され、14年正月から立射40発競技にも挑戦しています。同年4月には四段380点に到達合格し、ルール知識も会得し始めています。但し費用負担は同年度中増加した練習負担も含め120万円程度となっています。早期の段位取得は、その後の修得環境に受験のストレスを置かないことから来る平穏さを期待してのことといいます。時点での規則で14歳時点で三段を取得していることはエアライフルに移行する条件となっていますので、時期が近付いてから試合実績に受験負荷が加わることが負担になることが見えているからです。また、仮令段位に達しても、常にその成績に達するには相応の練習量が必要になります。高校生にでもなり、認められる成績が見い出されれば、むしろこちらを本学ともされますが、低年齢では学校環境にそれほどの柔軟性が期待出来ません。ライフル・ピストル競技は危険な道具を使うとされますが、競技者は対戦者との組み合いや接触衝突、また速度など環境から齎される危害に一切晒されない安全な競技です。そのため身体への故障負傷の可能性は考えられる限り皆無で、履修期間には全く治療や修復に費やす時間は現れません。高校生から始めても、確かに特質あるプレイヤーは在学中に全国的な首位レベルに達するものですが、殆どの同時着手のプレイヤーには時間が少な過ぎます。よって段位取得後五年程度のゆったりした時間を使用する為に、早期の着手と達成がのぞまれる部分でもあると考え指導されている模様です。

指導は教導であって強要ではない:
指導する立場の人は、仮にひと桁年令の子供の指導とはいえ、大方の場合たちまち得点レベルは指導者を凌駕しますので大変な慎重さが必要です。押し付けたり、無理強いするだけでは逆効果となることは間違いありません。何故なら、大方のそれは、射手本人が必要としている技量を遥かに下回るものだからです。常に基本に立ち返らせる機会を見い出すことは勿論、到達に満足しない研鑽に関しては、自分が出来ないことを教えるのだから、殊更の研究が要求されます。基本といっても、的に漸く入る初級者と、常に満点幾らか足りぬ程度とでは、求められるそれが違います。年少者は語彙も少なく、自らの工夫を言葉にすることは出来ません。聞き出すことは無理です。指導者が見い出して、何処迄任せて、また何処から修正するか、射手毎に対応していかねば、指導者が飽きられてしまう結果を生み、競技を放棄されてしまいます。有効な方法は、家庭内でもクラブ組織でも、御褒美を設定することです。但し闇雲に時点でのアワードとするのはむしろナンセンスといわれています。上手な海外のクラブでは、御褒美通帳のようなものを用意し、何処迄達したらどんな試合に参加させてあげるとか、用具や学用品・書籍などを購買供与される権利(ベネッセの努力賞のような感じかと)と交換出来るようにする等している模様です。子供達は何も提供されないのに努力だけさせられることには迎合しません。大人なら、職場との契約を意識せねば維持出来なくなる保身の必要があれば出来る努力も、就学を無理強いされている前提がある子供達には、それを離れた場所での努力は負担でしかないのです。極一部の勝つことを喜べる立場に至った子であっても、ある時ふと周囲の普通の子の課外に接した時に、自分が持つ立場が幾ら高くても、簡単にそれを訝しむ心理に至ります。要はそれを自らのポジションに常に教導出来る手段を基から構築しておく必要があります。これが音楽等展示を目的とする芸術などとは一線を画す、個人スポーツならではの特筆すべき特徴です。同時に、家庭内での高い指導は非常に困難を極めます。よく音楽クラブ活動などで、自分の楽器を買って貰ったら活動を辞めてしまう子が居ますが、これに見られるように、子供というのは家人から常に施されるのが当然と体感しているからでもあり、楽器を買って貰ったら満足してしまったケースです。ですから、突然ではなく定続的に、言葉ではなくものごとで、褒めるシステムを持っていなければ、塔の3本なり4本なりの脚の一本が挫けているのと変わらない状態で続けることになってしまいます。脚の数が多い、裾野の広い種目なら多少欠けても立っていられるものが、こと射撃となると完全に3本足状態の見通しのよい環境なので、少しでも瑕が付くと具合が悪い上に、心理的精神的な鍛練が必要ですから、定常心を育成する方法を講じた方が効果的と見えます。

射撃競技は年齢高め:
射撃競技において、既知の広域競技会への出場者のデータを検討する結果、平均して30歳以上であることが分かっています。また、その競技者の競技開始からの期間はやはり平均して7年と収集調査データから算出されています。しかしながら、競技射撃種目は枝派が大変多く、外交性もみられ、一概にそれがピークパフォーマンス年令とも言い難いのです。

クレー射撃種目は、銃器の機能性能というディメンション的条件が必須で、それを扱い切れる体躯を得られなければそもそも上達は難しくなります。工芸品に近いものでもあり、金額は物凄くなります。成績を得るためには夥しい練習量が必須で、莫大な費用が掛かります。これでは確かに低年齢者の育成は無理の方が多くなります。
大口径ライフル種目や大口径ピストル種目は、装置や設備に費用がかなり掛かること、射手の負担する消耗品費も多額になることから、必然的に軍人ばかりになり、競技そのものが外交用途に尽きてしまい五輪からは排された経緯があります。しかし、より少額で運用出来る小口径種目や空気銃種目に於いては、五輪の花形ということもあり、やはり各国とも民間と省庁各々の人材を応分に配置する傾向にあります。その他種目と違い、見せることを企図しない、完全な個人種目だけに、外交性も期待され選手が送られます。
さらに、優秀な成績を収める人が上位の試合に参加するかというと、必ずしもそうではないものなのです。競技者個人の価値観や経済性見地により、上位の試合に出ることに迎合しないことも多いのです。欧州の少年射撃クラブにおいても、家庭の事情や個人的に遠出を嫌う等で、仮令満点を定常していてもクラブの外では撃たない子が大勢居ます。この背景に転戦はドサマワリとかジプシーを連想させる意識も生きているといいます。射撃が国技性を持つ地域には特にこれが強いようです。これらは青年、成年競技者にも応分に見られ、外部への輩出は、それを了知してくれる個人に委ねられるので外見上の数は減少していきます。同時にライフル種目は軍隊等官公庁においては常に選手権者を育成しており、これらを職務として任命するのは各国の努めですから、総数の半分は大抵省庁選手となります。
こうした背景を具に繙くと、必ずしも国際的競技会に出場していることでピーク年令域とはいえないし、必ず輩出国のトップであるわけではないと考えるほうが良いと思います。

欧州の幾つかの国と地域では、小学校の体育の必須種目にライフル射撃が置かれています。その一つの理由は、徴兵への迎合性育成ということですが、さらに重きを置く理由として、身体能力が劣る子にも可能性がある種目だということです。いつまで頑張っても逆上がりが出来ない子でも、これなら成績を上げられるので、大括りで「体育が苦手」と科目を避けて理解から離れていくことがないようにという配慮だそうです。体育の科目主眼は、次の文化の担い手を育てる中で、ゼロから出発して反復動作を繰り返し、出来るようになっていく流れを知り、様々な物事に取り組む意欲への理解力育成です。実際に成果が出ているのか聞きますと、団体種目や体操種目、武道などが一切奥手な子に限ってこれには大変な熱意を示し技量も獲得するといいます。この教育課程で使用する道具は主に空気銃ですが、これでも消耗品の準備の面倒があるので、光線銃は古くから検討され試作も多く見られたようですが、生憎値段的に導入し易いものには出逢わずにいる模様。標的とひと組で2万円程度なら即刻導入出来るようですが、どんな試作品も二十倍くらいになるらしく、初期投資が多額で採用には到れないようです。

ビームライフル・デジタルピストルを試されたい、或いは練習されたい方へ

 通常、これらは現在、先の通り学生の部活動や地域自治体主導の少年スポーツ活動として主体的に運用されています。しかしながら、それらの属性がなくとも、興味からトライしたり、またこれらで段級位を得て14~18才間のエアライフル推薦(エリート)所持や、エアピストル、小口径大口径ライフルに結び付けることも出来ますし、成年者が参加出来る公式試合を開催している団体もありますので、充分足跡としていくことが出来ます。

 段級位取得には、日本ライフル射撃協会の会員資格が、学生一般とわず必要です。これに加入するには、都道府県ライフル射撃協会・連盟経由で手続きする必要があり、越境を認めない会則を持つ団体もありますので、居住地の協会事務局に御相談下さい。

 日本中のこれの実施例を網羅することは出来ませんが、近いところの常設状況を一例として御参考迄お示しすることは出来ます。

 東京都では、都ラ協傘下地域団体によって公立体育館内に常設し、練習補助および指導を行なっています。施設の占用状況から、一般公開日が設定されています。

 神奈川県では、県ラ協及び横須賀市ラ協が各々、エアライフル施設と共用で常設運用を行なっております。定休日を除き定時定額で運用されていますが、試合などの貸切使用にも応じている為、日程により使用出来なくなります。
 神奈川県立ライフル射撃場には、通常ビームライフル標的12台が常設されています。銃もありますが、全射座数に若干足りません。所謂9時5時で公開しており、料金は銃器含む数百円、一日単位で、10分でも満時間でも変わりませんし、試合を想定した記録紙を用いる射撃も出来ますから、長時間確りした練習を志すには好適です。ただし空調はありません。駐車場は充分で、バリアフリー完備です。デジタルピストルは標的装置や銃を持込めば同額で使用出来ます。
 横須賀市には市内久里浜地区にある市営花卉公園の場外一角にあるアーチェリー兼用の射撃場施設にエアライフル射座兼用でビームライフル標的8台が運用されており銃も左右用が軽量型ともに用意されています。21時迄公開されますがやはり占用日程があります。料金は若干高額で、時間単位数百円、高校生迄の少年料金設定があり、銃器の持ち込み使用者の優先を鑑みられており、銃器の貸与を受ける場合は一日単位で数百円の別料金設定があります。デジタルピストルは旧式新式共に1座づつ準備されていますが条件は同じです。ともに初歩的な指導が受けられ、空調完備、駐車場そのものの設定はありませんが空きスペースにかなりの数が停められ、バリアフリー、月一回定例で三県一市対抗戦が開催されビームデジタル共に射群があり、実質誰でも出場出来、日ラ会員は段級審査も受けられます。

 埼玉県には県立ライフル射撃場に2座のビームライフル標的が銃器共に運用されています。貸銃器料金は別途となります。

生憎常設情報は少なく、このほかは不安定なようで公開が憚られます。確定情報あれば、お知らせ頂き次第ここに開示します。