どんな活動をするかによって結構コストは変わります。
なお、ここには安々で始める方法は紹介しておりません。
それなり以上の条件下で、一応目指すものを持つというスタンスでの御案内の中で専ら普通と思われるやりかたをコストベースでお知らせするだけです。射撃競技は社会性を問われるものなのです。
群衆におけるアイデンティティとして、社会性と統一性は相反するものです。統一性とは、軍隊等で規定の装備と役付きを使いこなすことを慣習としていることですが、社会性とはいろいろな条件をいろいろな形で利用してその一員を担うことをいうでしょう。射撃競技は、まさしく後者が技量として試されます。
射撃競技で上位を得るには、先ず良い指導的立場に立つ人と接し交際することで、道具の選び方やそもそもその求めうる道筋の指南、使い方の指導を求めることにあります。ひとりのセンパイが寄って来る人全員を相手には出来ませんので、相手をしてくれる人を探すことも射撃の方法の一つなのです。しかし、自らの制限を優先して求め得るもので最高を試す生きざまも認められない訳ではありません。社会とは多様性なのです。多様性というのは、「負けること」が認められていることでもあります。大勢が負けるからこそ誰かが勝つのです。貧乏だから充分な道具や資材が求め得ない人は、多分必ず負けるでしょう。しかしその人が関わるコミュニティの中で、充分でなくてもそれで達されるべき最高を模索する姿を侮られることはありません。逆に最高額の最高級品を揃えているにも関わらず、練習もろくにしない人は逆に蔑まれることを認めさせるでしょうから、近々コミュニティから退いていくものです。今時普通はライフル射撃系からという例が多いのです。
これは、先ず空気銃を使うエアライフル競技というのをやるのです。18才から法的に許可申請可能なので、部活は関係なく大学生でも普通に許可を受けられます。が、競技に参加するためには学校や会社にある公認の部活に入るか、地域射撃団体に加入して協会員としての講習を受けるなどが必要です。これに使う銃は専用の競技銃ですが、新品だと今は4〜50万で向こう10年程度は腕が上がっても心配なしです。中古で旧式のものだと3万円程度から、それでも中級程度までは充分使えるものが沢山あるので、余り心配しなくていいものなのですが、必要なものは他にもあるのです。
射撃姿勢を安定させるためのウェア(射撃コートとトラウザー)は絶対欠かせませんが、競技の検定に通過する性能仕様のものでなければなりません。これはオーダーメイドでなければ無意味で、実際にカタログに載って売っているものでさえ競技前の検定で落ちてしまうものもあるので、先輩やコーチから、既に実績のある銘柄や仕立て元のものを聞いて注文せねば危険です。実績ある専門店は情報を細かく持っていますので安心です。これには性能を損なわず着用できるアンダー・インナーウェアも夏冬其々用に揃える必要があります。夏は暑すぎ、冬は寒すぎで練習にもならなくなります。上下で30万円程度は必ず予算を持ってください。選手生命を左右するものですし、これが格好だけなんていうのは今どきのライフル射撃ではありません。
靴も専用のものが必要です。女子立射40発では靴で3点変わります。男子の60発だと下手すると10点変わります。同じようなサイズ表記でもメーカーによって装着感がばらばらです。私の経験では3つを半年くらいの間に試して一個が何とか使えたというのを、消耗して、というのは走らない競技だから底が減るのではなくホールド性が落ちることですが交換するたびにやった、という感じです。一足3万円程度、余裕を見てください。
次に銃をおく、利き腕と反対側だけに使う手袋ですが、好みと適合が分かるまではとことん買う、という感じ。当初銃砲店に行くたびに一個買うというのを一年程度やって、漸く自分向きなのに当たったもんです。銃を持ち替えるとこれまた合わなくなる感じで、厭に悩みますが、今は一個1万円から15000円位です。私は全部で50個くらい買ったでしょう。
視力矯正をしている人は、コンタクトレンズを使うと競技にならなくなる(競技中は目がことのほか乾くため)ことがありますし、普通の眼鏡では照準が歪むので専用の、標的に対して平行にレンズを設置できる片目専用の眼鏡が要ります。枠は1万から4万でありますが、これにレンズを入れて貰うためには、いつも使っている眼鏡の度数ではきつすぎることが多く、また照準器の銃口上にあるほうのリングサイトというところに焦点が合わせ易いように改めて検眼が要りますので、検眼費とレンズで3〜4万見ておく感じです。もし両眼の矯正がないと手元も不案内だとなりますと、右利きなら左目側には手元用の向きと設定のレンズが要ります(標的交換とか弾込めの時に必要)ので倍のレンズ代と左目用の枠代(オプション設定があり1万円位)が要ることになります。なお両眼にレンズ枠を付けるためには安価な枠ではへなついて当てにならなくなるので最上級品が必要。目が命の競技ですから....。
このほかは、銃の許可を取る費用、保管庫・銃や装具のケース代、日々使う弾代的代、射撃場の使用料、交通費旅費と部費などです。当初は10万位まとめておきます。
いろいろ掛かるようですが投資は無駄にはなりません。ライフル射撃は長じてスコアが上がってくると、装薬をもつ(火薬を使う)銃を持たせて貰えるようにもなります。そのときに、エアライフル用に揃えたものは皆使えます。さらに必要になるのは高くなる標的代と弾代と、改めて必要な銃の申請関係費用、それと空気銃と余り変わらない銃器代金、強いて言えば標的を観て点数を知るための望遠鏡くらいです。射撃場の使用料は距離が長くなるので当然高くなりますが一日単位なので大変な負担にはなりません。これがとっても出ない場合は、将来ピストル射撃を目指すということ(別に目指さなくても良い)で、片手撃ちのハンドライフルというのをお勧めします。エアピストルは長さの都合で普通は持てないので、コレに長さを増す部品を付けてエアライフルにしてオープンで許可を受けられるようにしたものです。ピストル射撃は難しいですが、これはこれで面白いです。銃と弾と的があれば、当初いや相当行くまでは眼鏡の人も普段のままで良い(やっぱりコンタクトは無理みたいですが)し、服もトレパンとジャージ、夏はTシャツで涼しいです。要は普段着の侭で構わないのです。その代わりレア競技で、試合回数は稀少、国体などメジャー試合はありません。しかし自己精進追求型の人には経済的でお勧めです。銃は25万円で新品が作れ、中古は1万円位からあります。その後は修理代程度で一生もんです。上手くなってもエアピストルにいくためには消化試合とか推薦要綱があり、さらには定員が常に一杯ですから運良く巡りを得ても先の成績維持に努力が必要で消化試合や成績ノルマも課されます。銃は小さい分安いし、道具も要らず金は掛からないのですが、心理的なストレスはとても高い競技に突入することにはなります。
クレー射撃をやるなら、様子はまた変わります。
先ず大学活動とするなら、現役合格進学なら18才ですから、普通に許可申請出来る年齢に足りません。射撃協会から推薦を受けることになります。このためには条件として学校の射撃部に所属して推薦をして貰う必要があり、エアライフルのように18才申請でオープンで許可を受けることは出来ません。
クレー射撃は重たい弾を毎回最低100発撃ちます。銃が競技向けのものでないと疲労で続かなくなりますし、今風の設計のものでなければ今の標的速度と反動(20年前と今では弾の速度が速いので反動が硬くなっています)についていけなくなり倦怠の元となります。数を撃つので銃の強度も必要です。そのため銃は最低でも新品を、かつ50万円以上は支払ったほうが将来の為です。高そうですがこれでも一番安い信用できるものなのです。上級の成績を常にたたき出す人の銃の価格の平均は500万円程度ですが、そこまでいかなくても取り敢えずこの程度のものがあれば相当長く、趣味程度の参加なら次回の大幅な規定改定までは使えますというレベルです。服などはトレーニングウェアでいいし、数千円の競技用ベスト、野球帽(大きな銘柄が入っていないことが規定されている試合がありますから無地もの)、手袋も別に当初は薄手の作業用革手袋でも構いませんし、靴も運動靴で充分です。着物にはお金は殆ど掛かりません。
案外安くつきそうでもそうは問屋が卸しません。クレー射撃は数あるスポーツの中でも金が掛かるトップクラスの競技です。兎に角射撃に金が要ります。練習とて1ゲーム100枚を撃つには弾と的と射撃場の使用料で2万円程度は覚悟です。これに出向くたびに旅費も掛かるわけですから並大抵ではありません。学生のバイトなどでは手も足も出ません。こちらは金がなくて練習に参加できず結局余裕のある仲間が上達していくのを指を咥えて見ているだけになってしまった人を大勢知っています。お金が心配ならライフルにいって下さい。何れにせよ銃を使うということは許可を受ける必要があります。今は大層厳しくなって人的条件が大きく関わってきます。先ず銃の保管を許されうる住環境というのがありまして、今風のシェアハウスをやったり下宿をすると許可を受けられなくなると思っておいた方がいいでしょう。学校の寮もほぼ無理です。親戚の家に居候というので申請したら、同居者の素行の問題が露呈したという笑えない例も。木造のぼろアパート(失礼!)では保安要件に満たないと許可取り消しになった人も居ます。射撃をやりたいなら、一般的に安全そうな住居を得てください。無犯である必要もあります。未成年は犯歴という調査よりむしろ補導歴や素行をみられるようです。私の場合は中学生で推薦選手だったのですが、学校や通学路伝いに一杯調査が入って顰蹙貰ったので結構厳しいと思ってください。申請にあたり近隣に調査が入るので、近所評判が悪いとか、そんなの誰だか知りませんというのは具合が悪いですから、引っ越したらちゃんと近所の人たちに挨拶をしておきましょう。これは円滑な所持許可に結びつけるために必要なプロセスです。銃器所持は日本では本来全面禁止のところ、競技や狩猟という格別の目的にのみ許可されうるという例外条項を利用する訳ですから国民の権利ではありませんので、くれぐれも誤解のないよう努めてください。
競技射撃にせよ狩猟にせよ、ある程度を目するなら人生設計が肝要です。
幾ら著名な大企業でも、特にその組織内で位置付けのあるクラブ活動等所属を作れる場合を除き、これらは「何処の誰某」というのが肩書きになるものですから、あちこちに転勤し回る体勢の下で個人の自由意思でこれらに着いても、正直なところ遊び程度のものにしかなりません。道具の許可そのものも、移動に寛大ではない設定です。金の掛かる種目で芽が出た時に、あろうことか海外赴任等命じられたものの、成果を捨て切れず職を辞したものの、転職先で得られる所得では競技を維持出来なかったということも頻発しているのが事実なのです。安くあがる種目においても、移転先で改めて入った地元協会には従前ライバルであった選手が居たりして結局サポート環境が変化し保ち切れなくなっていく例もあります。これらは世界的にほぼ同じ状況といえるようです。家庭環境の構築も課題になります。自宅で据銃やカラ撃ちの練習さえ侭ならないようでは技量の維持が阻まれます。
つまり、銃を使うことを安定して生涯行うには、成る可く若い、設計自体を構築する以前の段階から始め、あくまでも銃を中心に据えた就業・生活の環境作りをしていくことが望まれるのです。
大袈裟なようですが、銃を使っていくことは大体、自身を律することから始まっていき、それに終始します。