Q:
深夜の練習等に電気バイオリンを考えています。電気バイオリンはアコースティックの代用になるのでしょうかA:
なりまっせん、ぜったい、かわりにはなりません!!。
エレクトリックバイオリンは、エレクトリックギターと同じで、楽器の持つ表現と特徴をパブリックアドレスに載せる為に必要な、別種の楽器です。
最も斬新な電気バイオリンの姿です。
スタンドアップタイプの電気チェロです。
普通に見られる電気バイオリンの例です。あくまでバイオリンのボディバランスを残して、音像の特徴を守ろうとしているものもありますが、本来のバイオリンの音は得られません。全く別のものです。サイレイントバイオリン、と謳っているものでも、まあやってみりゃわかることなのですが、全然別の音がしますし、その音から、少なくとも自分が持っているアコースティックのバイオリンの音を想像しようもない筈です。
ポピュラーミュージックシーンにおいて、ステージパフォーマンスは音楽の一部です。そりゃクラシックでも重んじる人はやる方聞く方ともにあろうと思いますが、ポピュラー程重要ではありません。頭ッから、棒立ちのロックンロールなんて想像出来ないのです。いろいろな、クラシックの曲目を編曲し、小編成の電気楽器バンドで演奏する場合にしても、もうつったったままのプレイヤーをその舞台のモチーフにすること等出来ません。そんなことをしたら、必死で入場券を買って遠路厭わず詣でて来た聴衆を裏切っていることになりますね。無論音楽的に良い演奏はあって然るべきですが、素敵な舞台演出もまた、あるべきものなのです。
そういう、全ての面からのプレイアビリティを検証して、電気楽器は作られて来ました。電気バイオリンもその中の一つです。
激しいパフォーマンスを伴うこともある為、強度は重要です。さらには、どんなアクションのもとでも、磨かれた技能を阻害する性能では意味がないどころかぶちこわしですので、かなり妙な形に見えてもバランスは所謂完璧です。大音量のアンプスピーカや、モニタースピーカからの音でハウッたりウルフったりしているようでも困りますから、共振に対する安定性も高めなければなりませんが、これは、擦弦楽器はギター等發弦楽器に比べてかなり厳しい条件になります。同時に、直ぐ傍でボコボコと大きな音を発てる打楽器がいたりしますから、仮令アコースティック楽器に傾注して来たプレイヤーでも、もうマイクやコンタクトピックアップでは、場合によっては「ドラムスの為に持ちマイクを抱えている」だけにもなるのです。そこで、電圧なり信号なりを使ってピュアにその楽器本体の音響を得る出力をもった楽器が必要になるのです。これらは、発音本体のみならず、音響を取得して出力する電気回路も、音響性能上重要になりますので、値段に関しては結構高めになって来ます。
深夜しか練習出来ないとか、住居周辺が過密地だったり、住宅自体の防音が期待出来なかったり、周囲の理解がなさそうだったりしてやはり満足に音を発てられないから電気バイオリンで.....という気持ちは分かりますが、アコースティックバイオリン(こういう言い回しも変ですがね)そのままの音楽性を意識するなら、住み替えから考えなければなりません。サイレンサーを使うにしても、四六時中それでは、サイレンサー付きの楽器の音楽性になってしまいます。
それなら、いっそのこと、エレクトリックバイオリンの世界を切り開いていく気持ちで、代わりに、ではなく、本気で、エレクトリックバイオリンプレイヤーという意識をもって練習して下さい。