Q:屋外で演奏する機会があるのですが、楽器にはよくないのでしょうか

A:
正直に申し上げて、最近の風潮として屋外は楽器の保全上良くないという見方が一般的です。
そういわれてみたものの、殆どのアマチュアの演奏家が得る演奏シーンにおいて、屋外を外すと相当活動場所が限られてしまいます。
楽器は、用途において同じであっても価格の上下差が非常に大きく、一寸旨く行くようになるともとより直ぐに高額のものを持ちたがる(多くの場合は持たせたがる)傾向もみられます。高い楽器の方が良さそうに思うのは無理もありませんが、本人が何をやろうとしているのかを検討に加えて求めるべきものでもあるのです。

長時間の直射日光下、潮風埃風など、楽器のパフォーマンスそのものを損ないかねない場所であったとしても、演奏機会の方を重要視しなければならない音楽シーンにおいて、演奏家はその対応に準備の必要が自ずとあると思われます。

対策と言うより心構えを幾つか。

当然楽器にダメージがあると考えられる現場「ばかり」と感じるような活動状況を持つ人の場合は、楽器にメインとかサブとかいう役割を与えて複数持つより、普段からそういう場所向けの楽器1台に絞って使用することが肝要です。楽器を持ち替えると様子が変わりますし、「屋内」で使わないと楽器が心配になるようなもので普段練習していて、本番だけ「屋外」用のものに持ち替えて旨く行くかと言うとアマチュアレベルではどうかと思います。調整・調律を両方に施すのもコストと気遣い両面で考えものです。

両方においての演奏機会があるものの、大体同じような回数で時期も特に決まらない場合、外用・中用と分けて楽器を持つのも手ですが、「両方を自由に使えるように」普段の練習段階で片寄らないように満遍なく使っていく必要があります。調整・調律も両方に施さねばなりません。そうしたければ、これは面倒ですが仕方ないと思います。

演奏場所の環境を自分の手で少しでも良くすれば高価な楽器へのダメージの可能性を軽減出来る場合もあります。演奏場所の設置者が対応してくれる場合はテント等で天蓋をしてもらう等設備向上を無心するのですが、多くの場合は対応出来ないでしょう。バンド等の規模に応じたテントを自分で用意しておき、使わせて貰うように頼めば、大体のシチュエーションにおいてそれを拒む実施者は居ない模様です。そういう心配をする楽器に比べてテントは低額ですが、運搬にはそれなりの規模の輸送手段が必要です。強風等で音楽とは別の面で被害加害が起きる可能性もあるので、損害保険等への加入も怠ることが出来なくなりますが、方法の一つとしては現実的です。音響器材等も搬送する必要がある楽団規模で活動するなら一慮しておいて間違いない手段です。

「外ではやれません」と公言してしまうのも、一つの手段です。
半端なプロの場合はこういうと普通一切仕事にありつけなくなりますが、アマチュアの場合は元々頼みのボランティアとして縋るという、使う側のスタンスというのがあります。使う側は金を払う積もりは全くないか、ポチ袋程度で済ませようとしているのですし、同時に演奏のクオリティ等元々期待する積もりもない、自分のイベントの鳴りものの一つとして材料とする意識がなければアマチュアを頼める訳がありませんので、奏者が少し強気に出ても、ひさしのあるところとか、ちょっと引込んだところとか、三方を建物で囲まれたところとかを用意しようとするものです。

これら幾つかを心構えとし、自分でどのようにして進むかを考えて楽器も用意しましょう。

何れにしても、屋外での演奏機会もその活動場所に織込むつもりがないとアマチュアはやってられません。仮令副業としてでもプロフェッショナルを謳うなら、あべこべに演奏場所等選ぶこと自体が憚られます。
楽器を持つことは、聞く側から聞かせる側へシフトすることを意味します。闇雲に高額な楽器で自信を裏打ちしようとするより、何処ででもやってやろう位の意気込みを育てる方を先にしたいものです。

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