:ライフル種目・ビッグボアライフル射撃(BFR)について:

昔はラージボアフリーライフル(LBR)といったもんでしたが何時の間にかビッグボアとなっています。口径は5.7mm以上10.5mm以下となっているものの、実際は.30口径7.62mmが主流で最も多用されています(銘柄では308win・30-06spfd)。
公式には、射距離300mとされて来ましたが、射撃場環境に適合させる為150m、 100m、 50mで標的の大きさを替え換算して成績とされるようになっています。国際試合はありますが国体やオリンピックの種目とはなっていません。このほか、銃をマシンレストで固定して実包と銃器の研究成果から理論的命中を競うベンチレスト射撃、日本では不可能ですが1km〜3km先の標的を狙うロングレンジ射撃等、世界中にはいろいろな種目があみ出されて各々に選手権者がおります。
しかしながら、日本国内で大口径ライフルといえば、ほぼ全数という比率で狩猟用が占めています。大口径といってもただ口径が規準以上というだけで殆どピストル実包かそれ以下のエネルギーしかないカービン系のものもあります。

されども、元々ライフルといえばそれなりに大口径のものを指していうのです。
その昔、ライフル銃は銃猟家の中でも突出して富む人が使用する程度のものでした。発射の度に大量の火薬を消費する為というのが理由です。戦後暫くの間、外人が日本の猟野に出ていた頃は、手詰めの材料にライフル薬莢より散弾薬莢を選んで拾う日本人をみて「日本人は金物を捨てて紙屑を集める」と言わしめた程でしたが、一部見識の篤い外国人は日本の銃猟のあり方を見て「大変効率的で自然資源を無駄なく大切にしている」と評価しています。長くなるので補足します。

銃器は、猟銃(この場合専ら散弾銃)の所持期間が十年を越し、かつ最近では実猟歴3〜5年を証明することで所持許可に至る例が最も多く、次いで「有害獣駆除」業務に従事する為、それに続いて体育協会推薦によるものとなります。最初の事例では標的射撃目的では許可されないことから、狩猟の実績が継続しなければ無使用と看做されます。有害駆除の場合は組織的な任命が関与しますので、仮令実績がなくとも、その任務を帯び続ける限り免許され続けますが、任務主体の事業が無くなった場合は、従前に十年以上同任務に基づく許可継続がない限り、狩猟用に転用することは出来ません。唯一標的射撃を目的する許可を受ける方法は体育協会推薦ですが、先のSBと同じくARに続いてSBの成績実績規準を全うする必要があります。

実包コストが大層掛かり、また射撃場の環境も通常出会うところは精々100m、300mを持っているところは民間用では全国で3ケ所あったかなかったか程度で、私はこれでころされそうになりライフル射撃を辞め、狩猟に逃げ去ったのです。防衛庁管轄は結構あるので、転用或いは共用を願いたいところですが、実はそちらの方は「訓練の支障を来たさねば構わない」が、公安側の管理者の規準に防衛側が適合しない為無理だということでした。例外として、東京オリンピックの為に陸上自衛隊朝霞駐屯地内の体育学校施設としてつくられた射撃場が、平日のみ一般の練習にも供用して貰えます。ここは発生源に由することと、体育学校施設であることから、公安の認可射撃場になっているのです。

また、銃器自体の性能寿命がはっきりしていますので、目的に合わせて購買使用しないと大損です。近ごろは大体の製品がクロームプレート銃腔やステンレスで、主な銃身の劣化原因となるエロージョン(高温高圧高速による腐蝕現象)を起こし難く、通常実包で四千回、強装実包で千五百回程は発射出来るようになっています。自動銃のレシーバーと呼ぶ踝物は機械動作を受け止めるものですから、銃身寿命と踝物寿命を同じに見るべきで、つまり命中を損なうようになった銃は廃棄物です。
その回数を多いとするか少ないとするかは人や環境によって様々で、近射で止まり易さを目してライフル銃を使う銃猟家なら通常実包で寿命を無視して使えばいいものの、照準眼鏡を使う程の遠矢狙いで強装実包使用となると「猟期中2〜3度の出猟」の目的で「実際の発射は数年に一度と射撃場で少し」なら生涯使える、というものです。狩猟用だと携行頻度とその時間が長いことから、撃っていなくてもあちこちの故障や破損を来たします。商品価格が散弾銃に比べ格安でもあり、余り修理費が嵩むような銃台の破損等発生した時が寿命になるケースもあります。射撃専用のものは重くて持ち歩くのは困難ですから狩猟には向きません。
孰れ消耗性が高く、射撃機会が少ない用途ですから、必要に迫られない銃猟家は余り好んで使いません。中でも高額になる美しい加工が施されたものやダブルライフルという2連銃身は元々高頻度で使われることを企図していないものです。

如何なる用途に於いても、許可になるハードルが高いこと、元々の価格が低いこと、寿命が見え易いことから、不要になっても散弾銃のような高値で再販出来る期待は持てません。

銃器の性能的には軍事用途で研究が進んでいるものでありそのデータが派生されて猟用射撃用も作られるので専ら使い物にならないものに出会いません。但し数百メートルを越す遠射には、実包を構成する装薬や弾丸の研究やその組み上げ技術が細かい部分で影響し命中を左右します。持って撃つだけが射撃ではない類いのものです。

猟用ライフル銃の一例


射撃用ライフル銃の一例