:ハンティングエアライフルについて:

空気銃といえばもともとこれにとどめを刺します。昭和31年迄、空気銃は一般雑貨として流通していて、子供向け雑誌の通信販売等でも売られ、まるで鮒でも釣りにいくかのように小鳥獣を撃ち、銃猟の真似をしていました。性能は乏しく、作りも貧相で、今のそれを知る人には考えられない「発射後の弾丸を再発射出来る」程度でしかなく、とても獲ることが目的の猟用に適するものではなかったのです。それが許可制になったというんで鬱陶しくなり当分忘れられることになりますが、制度施行後は諸外国から高性能品が大量に流入(ダイアナやBSAなど)し、国産のものも品質性能共に一気に向上。折しもの戦後のガンブームに後押しされ、空気銃猟は狩猟の手段としての地位を形成し今に続いています。
許可体系は微妙で、狩猟向けのつくりのこれら空気銃であっても、18才からでは標的射撃目的のみの許可となり、狩猟目的での許可は20才以上の狩猟免許者に限られます。

口径は4.5、5、5.5、6.5mmさらにそれ以上と多彩な中から選びますが一般的なのは4.5mmと5.5mmです。射撃場の多くはまだ競技専門の4.5mmを越える口径の銃を撃たせません。そもそも狩猟用空気銃を撃たせないところもあります。最寄りが何を使わせるか確認しておきましょう。
口径の小さいものは着弾安定性を、大きいものは弾着衝撃力を求めて各々選ばれ、猟獲対象も自ずと決まります。小口径の銃では小型鳥獣を、大口径の銃はキツネやタヌキといった毛皮獣迄対象にします。大物を撃ってはいけない規則はないので、実行している人もいて猟果を上げています。装薬しない為手続においても簡略化出来、資金面でも少額で済み、アウトドアスポーツとしては好適です。但し安全という訳ではなく、装薬銃のように一旦発射状態にした銃から弾丸を抜取ることが機能上無理なものが多いので、発射不要となった時に如何にして弾丸を処置するか考えておかねばなりません。構造上から、負革(ショルダーストラップです)を取り付けられる機種も少ないので、両手を自由にして野山を駆け回るのに不自由で、専ら待ち撃ちをすることになり、散弾銃を使う猟に比べると能動性が下がりますが、命中の精度を上げられる猟法から猟獲物の損傷を最低限に出来るので、商品性を期待する猟が可能になります。

銃の性能、こと命中精度は、競技銃に比べると相対的に下がりますが、それは据銃するからであって、機械的に銃を固定して発射した場合の精度は殆ど変わりません。初速や弾着衝撃力は競技用のものとは比較しようがない程強力ですから、機械的なストレスが高く、メンテナンスにはより注意が必要です。近ごろはこの種別の銃器もプリチャージ式が多くなっているので、連続発射における銃器の耐久性も曾てのポンプ式スプリング式と比較してかなり高くなっていますし、体力の消耗もありませんので、競技に使っても良さそうですが、重量や銃台の作りが軽便に出来ている為に安定した射撃に結びつかないので、共用出来るものではありません。しかし狩猟は規定の期間があり、これを使用してオフシーズンに競技射撃を行なうトライは長く努力されております。ルールは催す団体によってまだまだ違いはあるものの、概ねガイドラインが出来始めておりますが、全米射撃連盟が行なう50mフィールドターゲット競技を行える射撃場は国内にはありません。装備品的ルールはAP・HRと酷似しており、ライフルウェアを用いて身体の動きを制限することは認めていません。標的のサイズも、照準眼鏡(スコープ)を用いるかオープンの照準器で狙うかにより変えられたりしています。射撃姿勢はARに準じる他に、猟野にて自然の依託物を利用するのに似た卓上に肘を突く方法も採用されたりします。

また、ランニングボア射撃ともいう移動標的射撃はこのカテゴリにおいては珍しくクレー射撃協会によって主導され古くから行なわれています。元々は狩猟の練習のような位置付けで装薬ライフルばかりで行なわれていたものが段々に競技性を強め空気銃に浸透してきてしまい、現在は専用の競技銃が研究されており国際競技会も行なわれています。

狩猟の概念は、競技のように競うものではないことからも地域や個人により様々です。猟野となる土地は皆所有者が居るので本来自由に使用出来るものではありません。広く獲物を追わない猟法となる空気銃猟は時としてトラブルに繋がります。されども逆に農業漁業の上での営業害駆逐には、装薬実包の調達に関わる手続が除ける空気銃は使い方次第で効果的経済的であり、しばしば活用されます。

ハンティングエアライフルは、世界的に広く野外活動に活用されていますが、その多くの国や地域はこの銃器に対して免許制を布いていません。米国のこのことを強調して引用されるのを目にしますが、これはアメリカライフル協会が大変この環境に威力のある言論を行使している為であり、必ずしも合理的とは言えない一面があります。国土や人口、居住民族配分の似ている英国やドイツ、イタリア等を例に取れば、日本より若干これに対して緩やかに見える、というだけでそれなりに厳しく統制しています。



狩猟用空気銃は競技用(この場合はISSF競技)のものとは全く違う概念で設計されているものです。専らの銃器の開発意欲は強く遠く速くというもので、これらは、こうした自然発生的モチベーションで設計製造されているので、ISSF競技規則に合致したものを製造提供する仕事とは方向が全く違います。狩猟において空気銃は、装薬ライフル銃と散弾銃という二種類の猟銃間にある大きなギャップを埋める役割があるので、その両方の不能無能を補えるという観点で見るべきで、決して競技の発展型等ではありません。
狩猟用空気銃が働きたい距離は大体において20〜50mであり、競技場の10mレンジでは大体が役割不足になります。照準を練習したりといった運動的要素は満たされましょうが、性能的調整作業などは出来ないと考えるべきです。また、多くの空気銃射撃場は競技場であり、ISSF競技規則に則った銃器の使用を目的とした性能設計であることから、これら狩猟銃の使用そのものを禁じているもので、無理な使用は器材の損壊等を招きます。
狩猟用空気銃は装薬のものと同じく、射距離的には大変幅広いカバーエリアを想定して作られています。使用目的からしてもまさしく到達ギリギリでも射獲を望むものなので、実猟に向けた調整にはそれに即した場所は必要ですが、それは射撃場という施設環境からはそもそも得られるものではないことを充々了解した上で使用に臨まねばなりません。

これら狩猟用空気銃も、認可されているなら射撃場で標的を撃てる訳ですが、初速が360m毎秒程もありそれにつれて発射音がかなり大きく、着弾音も室内射撃場になることから競技銃に比べれば爆音です。こうした射撃専用銃との性能上の違いを考慮して、混雑時射台の半分以上が競技種目の練習者で占められているような時は少し遠慮してあげましょう。真面目にコートとパンツに身を包み冬でも汗だくで修練を積むライフル選手は勿論ですが、ノルマに追われるピストル選手が練習している時等は、机に肘を突いて如何にもお気軽なハンティングライフルの射撃が目障りでない訳がありません。標的の選手の殆どは狩猟をしませんからマインド的にもオーバーラップする部分はないと考えればそれらはこれとは別世界で、空気銃の射撃場の殆どは競技者の努力で作られたものであることへの敬意も含め、そうした紳士的振る舞いに腐心して損はないと思います。

方式は現在でも所有数の殆どがポンプ式(マルチアクションです)で、続いてプリチャージ式、スプリング式、炭酸ガス式です。プリチャージ式は強力である代わり、エアシリンダーへの充填が手動では時間が掛かるし親タンク充填でも一々用意して歩くには荷が大きすぎる、充填に行くのは面倒ということで恐らく全数がこれに入れ替わることは考えられないようですが、連射が容易なので密度の高い射撃をする猟法をとれる場合は有用でしょう。スプリング式の手軽さと手返しの良さは何にも替え難いですが、猛烈な反発力を持つ強力な狩猟銃のコッキングは不慣れな人は勿論多くの女性には酷なもので、その為の頑丈な機構は重量を増し、携行も容易くないものの、中折れ式は部品を減らせる為若干軽くなっています。サイドレバー・アンダーレバーのポンプ銃は国産にも優秀なものがあることと軽量なことで享けており古くからよく使われます。普通に使うには最も無難ですが、歩行が多い猟法をとる場合はスリングが使えるサイドレバー型が便利。出力の加減も容易です。炭酸ガス式は現在日本では新品が手に入らなくなりましたがガスボンベは売っています。曾ては連発銃も工夫されていました。ガスボンベに収められた液化炭酸ガスの気化が低温時に充分でなくなる為、保温等の知恵を必要とします。


銃器から発射された弾丸の任意の到達点における作用仕事値に、昨今J(ジュール)という単位が使われるようになりました。

公式はカンタンです。
任意の位置の弾速を二乗した数字(メートル秒)を弾丸の重量(グラム)で乗じ、2000で割れば得られます。
通常弾丸や火薬の重量はグレインで表記されています。これは1/7000英ポンド、約0.0648グラムを1グレインとしています。

一例として、上のダイアナM52、.177cal(4.5mm)の銃口位置弾速は1200ft/secです。これをメートル単位にしますと365m/secとなります。狩猟に使われる空気銃弾の重量は9グレイン、0.58グラムです。この数字からこの銃の銃口初速における作用エネルギーは約39ジュールと求められます。
一般にエアガンといっている、高年齢者向け玩具銃は法定で3.5ジュールを越えないものとされます。それとの比率は10倍です。
なんだその程度か、空気銃ってそんなもんなのか、と思うなかれです。
上記ダイアナM52は、例としては余りに旧態然としたモデルです。発売から既に50年近く経つも、いまだに現行として販売されている伝統的な機種です。こう前置きした上でですが、この.177口径のものは 50m の距離で問題なく 2cm 径の円内に集弾します。当代斬っての新進機種ならその性能はいわずもがな、遥かに高い性能を持っています。これらに高倍率の照準眼鏡を正しく搭載し、銃を安定して託することが出来る射撃法をとれば、その距離に居るキツネを射獲出来ます。射撃という作業を命中に導く修練内容は異なりますから余り比較になりませんが、50m の距離での同じ仕事に散弾銃も用いられます。その際使用される散弾は直径4.5 mm の球体を装弾したもの(BB)であり、一個の球体の作用力は空気銃と変わらないのです。
つまり、仕事の達成性能において、ものを選べば空気銃と散弾銃はほぼ同じといえる訳です。

大変な多弾数が練習に必要な標的射撃に於て使われる射撃競技銃では、一般的なエアライフルが初速180 m /sec、エアピストルが120 m /sec 程度です。銃弾の重量は若干軽いものが用いられ、大体8グレイン、0.51グラム位です。射撃用の銃弾の弾頭は平たく、侵徹性には劣りますが、標的に明瞭な円形を打ち抜きます。採点を容易にする為にこの性能は欠かせませんが、ある距離から急速に空気抵抗によって速度を落とし落下していきます。しかし空気銃の射撃競技の射距離は10mですから、標的にマルを打ち抜くには充分な空気に抗する速度を維持しうるので採用される訳です。競技銃の初速における作用力は8ジュール(エアピストルは3.7ジュール)となります。これらを狩猟に用いるのは困難です。一般的にスズメを射獲し得る銃の初速における作用力は12ジュール以上と謂われています。経験からも、競技用エアライフルでなら極至近でかつ幸運なら何等かの狩猟鳥獣に恵まれますが、エアピストルを延長したハンドライフルが手許にあるからと転用しても、猟に出かけるだけ無駄です。

ただこのジュールというのも案外当てになりません。仕事率の他に、実際に銃弾が対象に及ぼすダメージは、その質や形状によって大きく異なるからです。
6ミリもの直径を持ち乍ら0.2グラムしかないプラスチックの弾丸を撃つ玩具エアガンを、法を逸脱するのを忍じてさらに速く強く調整したところで、大きく軽い弾体は空気中ではその抵抗を大きく受けて急激に速度を落とし、弾道も安定しません。その上真球ということで、当たったところでなかなか対象に刺さるものではありません。ところが4.5mmしかないのに0.5グラムもある鉛の弾体、しかも先を尖らせたりしてある場合、玩具エアガン並の作用力だったとしても刺さる力は強まります。玩具銃に金属弾丸を禁じているのにはこうした事由もあるのです。玩具銃は主に一般家庭や銃器から発射される弾丸に無防備な場所で使いたい願望があるものですから、人畜および財物への危害を最少限度以下にしておくことは、長く楽しむ環境維持に必要なことなのです。射撃の楽しみは決して威力だけから齎されはしません。

銃弾の速度を速めれば全体的に性能が上がるかというとそうも単純ではありません。速くしたために飛翔中に安定性を損なうこともあり、それを求めれば弾体は重くせざるを得なくなり逆に弾速を遅くします。バランスをとるのは大変難しいことです。法規制が厳しい環境にあっては、目的にあったものを選んで長くその目的を維持して活動することが成功に導きます。一銃主義という勧めがありますが、持ち得るもので最大の効果を得る研究をすることでやがて達成を感じられるようになるものです。あれこれ集めるより、自分の銃をみつめてその可能性を楽しみましょう。


空気銃には独特の取扱上の注意点があります。
装薬銃では、元折れなら銃を折ることで、自動銃や手動ボルト銃でも遊底や槓桿を開くことで、薬室内に装填してある未発射実包を取り除けます。これは、知識以前に銃を持つ資格を得ている人なら誰でも分かることになっています。
この機能、空気銃はそもそも期待出来ない構造なのです。装填の手順が多いことも、装填の有無を忘れさせる要因にもなっています。
液化圧縮ガス圧式や高圧空気充填式のものであれば、装填手順は装薬銃と変わりません。スプリング式の多くもこれに違わず、開く手順と閉じる手順だけでことが完了します。しかしその殆どは、銃弾が装填口から棒状の部品で奥へ押し込まれ、入っているかどうか確かめるには、銃口から覗くという危険な手を使うしか無くなります。手動ポンプ式では、数回ポンプを漕いで充填した後に装填しますし、別に装填口をもつスプリング式においては、スプリング圧縮動作後に装填口を開いて装填するなど、複雑で体力のいる行程を必要とします。
しかし、これらのことが反復されるうち、ふと装填したことを忘れ、弾を二個入れてしまったり、或いは弾を入れ忘れたり、または弾が入っていることを忘れて空気を抜こうと引き金を引いたりしてしまうのです。
中折れやレバー式のスプリング銃は、銃を再び折ったり、レバーを開けたりすれば弾のあるなしは分かります。安全そうですが、それを改めて手前へ取出すことは既に不可能なのです。

空気銃はこういう操作上の条件から、まことに危ないということで、昭和38年に射撃場の設置規準が出来た時に、空気銃の射撃場は、上下左右は勿論標的の後ろ迄が完全に覆われた全覆道型でなければならないとされて今に至っています。

射撃場等狭隘な場所や、狩猟の帰着集合地等周囲に大勢いる状況でうっかり暴発させたりすると大変危険です。発射音がそれと分かる程のものは相当強力で、上に向けていたとしても跳弾等で危険範囲は広くなります。

空気銃を使っていて、何か他のことに掛かったり、人と会話する時など、照準と発射を前提としなくなった時は直ぐ装填口を開き、弾に空気が送られないようにします。またその後発射の必要が無くなったら直ぐに、射撃場でなら標的に向けて、猟場では柔らかい地面に向けて、一回引き金を引きましょう。から引きなら大変結構ですが、パシュッとなりますと、おっと危なかったということにはなります。ただし普通は単発なのでその後は安泰です。弾倉があるものはその後スグ弾倉を取外します。
装薬銃と同じように安全に扱っている積もりでも、ついつい、うっかり、いや、そもそも感性の問題で過失以前とも言える忘却による危険を回避する為に独自の方法を使わなければならないのが空気銃です。

保安や機能温存の為にも、これらの知識は必要です。
スプリング式空気銃は、から撃ちは出来ません。射撃競技専用のものの他はフエルト等で出来た掃除用の弾を撃つことが出来ません。何かの都合でコッキングしてしまったら、コッキングレバーを完全に引き切り、しっかり持って、戻り安全(ダイアナ等に装備されています)を掛け乍ら引き金を引いてピストンを解き、その後戻り安全のノッチ一個づつレバーを戻していくか、中折れ型なら、銃身を折った状態で動かないようしっかり保ち、引き金を引いて解放しゆっくり戻していく、又は、柔らかい地面や、古雑誌を厚さ15cm位に束ねたものに押し当てて弾を一個撃ち放ち、スプリングを開放しなければなりません。前者身体を用いる方法は女性等力量のない人には困難ですから、開放用に一個発射するのが怪我を防げる方法です。

空気銃は、ドウセ空気銃だからということからか、結構ぞんざいに扱われがちですが、銃器であることに違いはありません。危害を防ぐ為に、特徴に見合った使い方を覚えましょう。


これらには、大方の場合ライフルスコープが載せられます。固定照準器所謂アイアンサイトでも実用上の距離面では差し支えないと思われがちですが、実際競技等をしてみますと、スコープドライフルの方が俄然成績が良くなるものです。
スコープには、隠れた効果があります。標的が良く見えるというのは当たり前になりますが、銃の重心を変化させ、反動による弾道の荒れを矯正する効果です。
専らスコープを載せますと、アイアンサイトでの照準点と合わせると概ね下に着弾します。重心が前によったことと上下に散らばった為、反動が下に出易くなったといえます。空気銃は反動がないという話を良く聞きますが、これは非常に小さいということであってゼロにはなりません。スコープは重たい装具ですから、その重量が加わり重心位置が前の方に纏まると、本来銃弾が銃口から離れる時の反動による高さの変化が抑えられ、命中点が下がるのです。重量が余りに大きいものを載せますと、反動が横に出る傾向も強まりますから、射撃そのものが変わって来るでしょう。アイアンサイトで慣れた向きには、スコープを使う前に良く慣熟研究をする必要が現れて参ります。
またスプリング式の空気銃は、反動以前に大きなピストンが動く強い振動がありますので、元々これをどうイナすかで命中の可否が現れますが、この式の銃に装薬銃用のものを取り付けますと必ずと言って良い程壊れますので、適品を選ぶ必要もあります。
さらに、装薬銃に比べ圧倒的に近距離で用いなければならないことも忘れられません。対象となるゲームもそれに応じて小さくなりますから、近くても弾丸の通る道筋があることを忘れては命中はありません。例えば10mの距離で雀を撃ち取ろうとするなら、国際用標的の8点は必ず掠めないと傷つけただけで飛び去られましょう。ここで重要なのは近い距離で使用出来る性能のスコープを入手することです。多くの装薬銃対象の設計のものは、そのものが持つ焦点を50m乃至はそれ以上に設定されていますので、これを10mか20mで使うには、スコープを覗き込んだ位置による光軸のずれつまりパララックスを排し中央に導く必要があります。先の雀の場合は、パララックスによるずれで簡単に失中します。しかしこれは簡単なことではなく、見出しに時間が掛かりますから、その間に雀は去ります。一瞬を捕らえる為には、要求する距離でパララックスがゼロになる焦点調整が可能なものを用いなければなりません。この性能はスコープの対物側レンズを移動させるか、鏡胴内に焦点調整用レンズを一組おいてそれを移動させる方法で得られますが、装薬銃に比べ光学上の開放焦点を近付けるにはおおきな加工が必要なことや部品が増し高価になりがち、さらにはその分大型になりがちですから、古来から結構嫌われたのです。重く大きくなり、照準線は高くなり、空気銃の軽便性が損なわれるからですが、昨今は世界的に銃の許可制度が強まり、火薬も高くなり、結果空気銃への依存が高まったのでそうも言っていられず、安価でもこの性能を充分備えたものが幾つか現れ始めていますから、より命中を楽しみたければそうした性能のものを進んで求め、重量や大きさには慣れていくのが現実的です。