子供に楽器を与えることに、早すぎるという懸念は多分ないと思います。逆に、乳児を離れた頃には、なにかしらの道具を使うことをもう始めるのですから、道具で音楽に向かうことを試させるのに、疑念や、躊躇があってはならないと、感じます。
唄を教えることは、案外早くからやっているものです。唄を、音とリズムという形で表現出来るものは、一先ず楽器ということになります。声も奥が深いのは確かですが、幼子は喋っているのか唱っているのかを分からずに真似る一時期があるので、その間に楽器、それも行動を伴わなければならないものを使うことに慣らすには、良いと思います。
何かを叩いてリズムをとってもいいでしょう。空き缶であってもそれは立派な楽器なのです。
が、それを押し付けてはただの大人のエゴになります。
こどもにとっての楽器というのは、もう少し違う意味があると思います。一つは、感受性に訴えかける姿形、もう一つは、思い通りにならないもどかしさです。楽器状の玩具は、かなりあります。おとながこどもごころに思い描くようにつくると、その時代に合わせた玩具ということになります。3〜40年前なら、ブリキのギター型の玩具とか、手に下げて使う和太鼓みたいなもの等で、今なら、何個か鍵盤があり、押すと電子音で音階を発音するもの等ですが、ひどいものになると、ビカビカと、発光ダイオードか何かが光って、勝手に演奏を始める電子オルゴールの類いが組み込まれた、楽器のシルエットだけの玩具もあります。
それらは、ほんの一時「ヒマを潰す」役割は担うものの、楽器が齎す音階や音程は、ひとがつくるから表わされるという事実からは大きく掛け離れている為、その後それらに触れた経験は、活用されないまま消去されていきます。子供の記憶というのは、不安定なようで大変安定しているといいます。大人の記憶が、論述的に記録され何時でも利用出来るライブな状態を、必要な間保つものであるとするなら、こどものそれは、フリーズドライされて保管され、必要な時が来ると、少し時間は掛かるものの、ふやかして再利用する「素材」として記録されると考えた方が良いようです。その為には、複雑なことに没頭してひも解く、その年代にしては非常に長い集中の時間を齎してくれる「もの」でなければ、案外それだけ「加工」の必要がある記録がされる経験にはならないのです。楽器は、大切に使わなければ壊れてしまうことを覚えるのにも効果的です。手入れをしなければ傷んでしまうことも経験出来ます。また、今は大抵のおとなたちは楽器を触った経験があるのですが、中には長く所有し続けて奏でている人も多く、そういう人のこどもたちなら、親の真似が出来るもの、という、かなり大切なツールにもなり得ます。
バイオリンも、それにはかなり適当だと思いますが、多少値段が張ったりしますし、親御さんがそもそも、バイオリン自体に触れたことがなければ、それそのもの、理解を伝達する前に一先ず勉強してからとなってしまうかも知れませんね。
「バイオリン=習いごと=英才教育=強要」といった間違った図式も多少邪魔するでしょう。バイオリンを習うならピアノを習おう、というのも変な考えです。ピアノというのは、専門的には「平均律12音階」という、所謂ドレミで強制的に調律されている「設備」で、音階は鍵盤の指定通り発することが出来、取り敢えずネコでもイヌでも音を出すことは出来ます。が、音楽は実は平均律だけでは「ハモ」れません。ハモる音の気持ちよさを身近に体感するには、「純正律」を奏でられる弦楽器、それもバイオリン属の楽器でなければ出来ません。純正律の説明は複雑になるので別途調べて頂くとして、結局それで、ピアノとバイオリンという、二つの柱が器楽を習うという文化活動の中に立っているという訳なのです。基本的に今一般的な最小サイズである1/16のバイオリンは、日本人なら4才児位から適当となるサイズです。バイオリンは2才からと言われていた時代はとても長く、発奮させる為かどうかは知りませんが、極小サイズである1/32という、全長32cm程の楽器も当時は普通にラインナップされており、ほんとうに2才から始めた人も少なくありませんでした。そもそもその時代はバイオリン自体価格設定が今に比べ格段に高く、メーカーにも無理なくそれを揃えさせたのでしょうが、今時は、こどもの身体は大きくなったといったり、2才からは早すぎるという教室側の意見(確かに子供をあやしている時間の方が長い)もあり、大半は退きました。現在は、極少数のメーカーが供給しているに過ぎませんし、曾てバイオリン大国であった日本においてはマスターメードのみとなり、愈々遠い感じがします。しかし、当店は、中国の懇意の作家の助力を得て、結構納得出来る品質のものを比較的お手頃に提供させて頂けます。
意地でもバイオリン
1/32・全長約340mm(弓長さ420mm)
<御提供品例>
なにがなんでも2才からバイオリンを持たせたいという気合いが入っている親御さんにはこれ。りっぱに、バイオリンの仕事をします。
だからって、2才でタラタラ弾いたら「妖怪」です。過剰な期待はやめましょう。それでなくてもそのころは怪獣なみの破壊力で家中ひっくり返しているでしょうから、こういうものと身近に触れていく機会ということで、後数年を楽しく過ごせる息の長い玩具です。お子さんお孫さんへの贈り物にもきっと思い出深く残るお品となりましょう。元々、バイオリン大手メーカーは大体ラインナップしていたサイズなのですが、近年は「2才からなんて」という訝りと、加工が大変だという理由等を言い訳にして大方のメーカーが辞めました。非常に少なく、かつ安く買えるものは滅多にありません。
ペグだけでは調弦が大変なので、全ての弦にアジャスターを装備しています。ケースと弓、松脂でひとセットの構成です。小さなお子様はバイオリンよりこっちが好きかも知れません....。
本品は当店独自のオーダーによる生産品で、製造数が限定されています。何時でもはお求め頂けません。
また、小さすぎる所為で、入荷侭では使い物になる音像、性能は得られませんので、初期調律(ぴよよオリジナル・ショップアジャストメント:通常サービス料金33,000円相当)を済ませてのお渡しです。
新しい楽器は、弦の配置・長さ調整、駒座りと高さの調整、魂柱の位置・長さ・太さ調整、糸巻きの摺り合わせ・穴位置調整、ナット溝・高さ・流れ調整、場合によっては指板反り調整の各々は、最低行わなければ習熟に影響する欠点を残します。弓毛の調整もほしいことがあります。
これらをひととおり、診させて頂いて、現況で最良の状態を作り出します。
当店では、入庫した楽器は全てこの調整を施します。精査済の楽器には、当店のラベルが入ります。
現在御用意出来る仕上仕様は以下の写真のお品になります。
アジャスター内蔵のテイルピースが使い易いスタンダードアッセンブリーです。アンティーク仕上げで古さを装います。扱い易さを追求したモデルです。
写真のお品のうち、ピッチパイプは付属しません。極小の楽器の為、音色と音程の判断が難しいので、チューニングメーターをお使い頂くことをお薦め致します。1/32ぴよよオリジナル・スタンダードバイオリン
当店在庫楽器のご案内ページにて掲載御紹介させて頂くようにしました。
入荷品の都合により、ケースの配色や塗り色に違いがあります。御了承下さい。
2さいのおちびさんでも、半年もいじらせているとこのくらいのまねごとは出来てたのしめます。
こういうばぶっこにバイオリンを持たせる研究です。
バイオリンの分数サイズの御説明もあります。2〜3才児の集中力や愛着、受容等、おとなからみたらとるにたりないものです。言葉も自由になっていませんので、強要することは逆効果として顕著に現われます。習いごととして成立するなら、多少自我が芽生える4才位からが確かに適当ですし、グループレッスンに通うとなると一層2才では、傍迷惑であることも考えられます。折角買ったのだからやらせたい、上手くさせたい気持ちは痛い程分かりますが、むしろ、やりたいときにやれる環境作りに役立てる、という程度の軽い気持ちで、装備の一つとするくらい、悠長な考え方をもつことをお薦めします。
当店オリジナル1/32バイオリンは、入念に調整を済ませた後のお渡しとなっております。よってお求め後の破損修理、調整等に関しては、別途作業賃を要します。
親子でたのしむのもなかなか、いいコミュニケーションを生むでしょう。 写真は生憎ギターですが、案外、さまになったりしますし、自由になるようになると、手放せないおもちゃになります。 人は楽器への憧れを必ず一度は抱くものです。楽器が奏でる音色は、コニュニケーションや発表、命令等に兼用される声と異なり、純粋に音楽を現わすものだからにほかなりません。暮らしの中に楽器を置き、手に手に一時を楽しむことは、家族の絆を一層深めます。ピアノ等設備的な佇まいの楽器もいいでしょうが、専用性があらわれるバイオリン等は、めいめいに自分のものという意識も育ち、大切にすることも学びますし、調弦したりする時間もまた、道具を仕立て、仕事に向かう心を育み、大人であってもそれらひとつひとつのものごとを改めて大切に感じることが出来ます。 |